INTRODUCTION

イントロダクション

Heaven's Feel

(間桐桜ルート)

温かな日々を夢見た。
薄氷の平穏。積み木の天秤。瓦礫の上の揺籃。
眠りにつけば二度と訪れないような、残酷で優しい昨日。

――― Heaven's Feel

それは今までとは何もかもが違う、隠された聖杯戦争。
穏やかな今を守るため、衛宮士郎はマスターである事を受け入れる。
セイバーは己がマスターの決意を良しとし、主の剣として戦いに身を投じる。
遠坂凛はマスターとしてではなく、誇り高い魔術師として夜を駆ける。
そして。戦う術のない彼女は、せめて彼らの帰りを待つ“日常”として有り続けられるよう願った。

戦いは静かに、毒が沈殿するように進行していく。

仮面の暗殺者。老魔術師の思惑。
真価を発揮する紫の騎兵―――士郎の窮地を救ったライダーは敵なのか味方なのか。

張り巡らされた罠は少年を追い込み、彼から戦う力を奪い、また、守るべきものを再認させる。
これは生き残る為の戦いではなく。
大切なものを守る為の戦いだと。

理想と現実はカタチの違う歯車だ。
噛みあえば軋みをあげ、血のような火花を散らす。
裏返る物語。聖杯はその真実を見せ始める。
多くのマスターとサーヴァントが脱落していく中、残された少年に神父は騙る。

「それでも―――あの娘に、
守る価値があるのかね?」

では、最後の選択を。 おまえは誰を救い、何を捨てる事ができるのか?
絡み合った運命の糸は、ここに終局を迎える。
剣のマスター、衛宮士郎。
宝石の魔術師、遠坂凛。 ふたりが守ると誓った、囚われた黒い少女。
省みる事のなかった十年を清算する為、最後にして最大の戦いが幕をあける。

……その答えは、結末にのみ。